日々、これ口実

自分の感じたこと、思ったこと、ただの雑記

聖地に引っ越した話

 

この10月に神戸市に引っ越してきました。
兵庫県の北西部に生まれ育って高校卒業までいたので、神戸は住んでも不思議でない土地ではあります。
ただ、個人的にはこの土地にはいわゆる「聖地」に住むという意識を持って住み始めました。色々考えて身の丈にあった場所だとも思いまして。

聖地とする場所へ引っ越しまで

細かく書く必要はないと思いますが、自分の好きな作品の舞台となった土地に移り住む人、住もうとしている人、良かっただめだった様々なお話を散見しました。

かくいう僕も高校の頃から読んでいた木村紺神戸在住が大好きで、いつか神戸に住もうと思っていました。
岡山の大学に行っていたので、まずは学部卒業の前にちょっと神戸市内に就職活動っぽい動きをしていましたが、折しも氷河期世代、速攻で諦めて大学院へ。
院卒後、しばらく岡山で仕事をしていて、10年ほど前に神戸で就職活動をしていましたが、見事にリーマン・ショックのあれこれで叶わず。
4年ほど前、結婚を機にと画策しましたが叶わず。
紆余曲折を経て、この秋におひとりさまになり、家を探していたら希望していたところにたまたまいい物件に見つけ住み始めました。
直前まで数ヶ月ほど夫婦で住むマンションを探しており、それが単身で住むという条件になり自分ならこの辺は我慢できるという妥協点を持っていたのが幸いしました。

神戸とは

神戸といっても三宮や元町を有する中央区を中心に、東に灘区・東灘区・西に兵庫区・長田区・須磨区垂水区、山の方に北区・西区とそれなりに広く、ぼんやりと「神戸に住む」と思ってもわからないものです。
結論からいうと、今は兵庫・長田区近辺に住んでおり大変満足しています。職探しも少し苦労しましたが、自宅から2駅、自転車で通える範囲が職場で悪くないです。

作品の舞台と住む場所

神戸在住」において、主人公たちが通う大学があるという中央区から西の地域がわりと多く描かれています。
というのも、主人公の辰木桂の住んでいるのが、長田神社周辺の長田区宮川町付近(引っ越してきてタクシー運転手に伝える住所が宮川)で、最寄りが市営地下鉄長田駅、山陽電鉄長田駅なので、どうしてもその沿線が多く登場します。

 


単純に住むのを考えたとき垂水区須磨区・北区・西区はベッドタウンでメリットや他の区と比べてアドバンテージがない気がしたので候補から外し、中央区・灘区・東灘区は割高なので第2候補、下町である兵庫区・長田区あたりは比較的安価な物件が多く、なにより桂の住んでいるあたりということで、ここをメインに探していました。

町おこしをやろうとした土地

以前から新長田駅周辺で鉄人28号ができたり、何かしらオタ趣味を持った人を対象にした町おこしをやっています。僕も少し乗ってみようかと思っていたのですが、本格的に移住を検討する前に盛大にコケたり、問題が勃発してうまくいかなかったようで…残念です。
神戸在住」は2015年に実写化されて映画館やテレビでやったそうですが(未視聴)町おこし的オタ趣味的な何かに登場するということはまずないでしょうね。あったら教えてほしいくらいです。
僕は作品のファンであり、推しのキャラがいるわけでもないので、「ここは作品にでてきたな」と思うことはあっても「桂が描いた平盛俊塚だ!」(「プロムナード遊歩道」1巻pp44~46)とはあまり思うことはなく、この辺描かれてたよなと散歩がてら見て回る程度のものです。


もっとも、作品が世に出てから20年近く経っているので、作品の核となる元町高架下商店街がなくなりそうだとか、大学の面々と遊びに行ってる神戸ポートピアランドが閉園したり、桂が引っ越してきてから向かった菅原市場が今年2017年の夏に閉業したりと、作品を取り巻く風景も変わってきています。
理由が高齢化など様々あるのですが、大きいのはやはり震災の爪痕でしょう。このことについては多くは語れません。同県民としてよく理解していてもです。ふとした会話に出てきて、そのたびに悩みます。
これは作品内でも見かけるものですし、気にしないように気にしてるものです。

他者にとってはなんでもない土地

神戸市は政令指定都市であり、例えば大洗とは比べるには条件が違いすぎる土地なので、もうちょっと狭く長田区と兵庫区でみると、やはりどこも同じで若者が少ないとかなんとか人集めをしたいという話を聞きます。
住んでみて最初に思ったのが、高齢者が非常に多い。若い人だなと思ったら大体中国人。元々中国や韓国の人が多い土地柄とは言え、スーパーやコンビニのレジは日本人より中国人のほうがよく会います。
僕自身が若者とされる年齢ではなく、単身しかも仕事などの理由でなくこの土地に来たので、「なんでまたここに来たの?」とたまに聞かれ、そういったとき話を準備してなかったことを後悔します。子育て世帯がくることはあっても、40近くの単身の男性がくることはあまりないんでしょうし。
大洗のガルパンさんという便利な言葉もないので「この辺が好きだから来たんです」と答えますが、「他の場所があるだろう」という人もいたり、あまり納得した顔をされたことはないです。20代だったら少し違ったのかもしれませんし、そこは話す人により個人差あるのでなんとも言い難いですが、これまでの2ヶ月で経験したことです。

都市部ではない他の聖地に思うこと

僕は神戸に来る前はずっと車に乗っていました。生活にどうしても必要でしたから。神戸に引っ越すにあたって、車は売りました。電車と徒歩で困ることはないので。困ったらカーシェアリングがありますし。


聖地に移住する人した人、多分地方では必要になるであろう車などはどうしてるでしょうか。結構お金の面でも精神的な面でもコストになると思うんです。カーシェアリングはあまりないでしょうし、公共交通機関だけではどうしようもない部分が。

車はよほど都市圏でない限り、その土地で仕事を探すとき必須になると思ってます。家で全部できる場合を除き、通勤や場合によっては仕事場で乗ることもあるでしょうし。
これまで車を所持せず都市圏から移り住んで乗った場合、数年持ってみて思った以上にコストがかかってると感じてると想像してます。
車を持たない生活になって数ヶ月で、こんなにも楽なのかとビックリしてるので、逆に強く思うんです。この辺が特に「身の丈にあった場所」という所以です。

コストもそうですが、ないと生活できない土地はいつ自分がコンビニに突っ込む立場になるかわからないですからね。永住か一時的に住むかの違いはかなりありますが…
買い物は全部通販は無理でしょうし、なんだかんだであると便利じゃなくないと困ることあると思います。互助会のようなものでシェアできれば別ですが。

まだ引っ越してきたばかりで

引っ越した話と作品の舞台に住む話がどちらも中途半端ですが、僕はずっと目指してきた場所がたまたま都市圏で移ってから日も経ってないので多く語れることが見つかってません。一つ言えるのはこのまま好きな作品の風景がみえる場所で生活していけると思えること。移住はそれなりの人数で移住などもいいと思いますし、僕のように個人的に聖地化して住むようになる土地というのもあるでしょう。有名無名様々な作品がありますから。